2011年5月22日日曜日

もう一つの大地震が起こる可能性

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● 防波堤を壊しながら越え敷地に迫る津波=3月11日、東京電力提供




ウオールストリート・ジャーナル  2011年 5月 20日 11:22 JST
http://jp.wsj.com/Japan/node_238969/%28tab%29/article

予測できなかった東日本大震災、断層の複雑さ過小評価も背景に=米誌論文

3月11日の巨大な東日本大震災の規模や影響を予測できなかったのは、科学者たちがこれまで日本の地震多発地帯の地震学的な複雑さを過小評価していたためだ―。
 こんな見方が19日付の米科学専門誌サイエンス上の論文から示唆されている。

 サイエンス誌に掲載された3本の関連論文のうち、1本の論文は、東日本大震災の発生によって地下のゆがみ圧力が変化し、
 東京から200キロメートル東の地点で新たな巨大地震が発生するリスクが高まった
とも警告している。

 東北沖で発生したマグニチュード(M)9.0の地震は史上4番目に大きな地震で、130年前に現行の記録を取り始めて以降に日本を襲った地震の中で最大だった。

 サイエンスに掲載された1本の論文の主執筆者で、米カリフォルニア工科大学の地球物理学者マーク・シモンズ氏は
 「科学者全体としてできていなかったのは、許容できる範囲すべてのモデルを検証することだった。
 これができていれば、東日本大震災の時期については予測が難しかったとしても、少なくとも規模についてはより良い予測ができていたかもしれない」
と述べた。

 英オックスフォード大学の地球物理学者、ジョン・エリオット氏はこれら3本の論文について、東日本大震災について有用な暫定的見解を示していると指摘した上で、今後精緻化される可能性が高いと述べた。
 エリオット氏は3本の論文の研究には一切携わっていない。

 科学者たちは地震がどこで発生するかを大まかに予測できるようになっているが、発生の時期については予測できない。
 日本は構造プレート(巨大な板状の岩盤)が別のプレートの下に滑り込む地域にあるため、活発な地震活動が見られる。
 2つのプレートはある時点でひっかかり、ゆがみが生じる。
 そのゆがみが岩盤の強度より大きくなると、プレートが元に戻ろうとして前に引っ張られ、地震が発生する。

 多くの科学者は、日本の東の沖にある断層が過去数世紀間に活動したのと同じような活動をし、M7.5~8.0の地震が発生するが、それ以上に大きな地震は一切発生しないと予測していた。
 科学者たちは地上のGPSデータを用いて丁寧に断層内の「ひっかかり」地点を示す地図を作成していた。
 これらのひっかかり地点は過去に断層が実際に滑った地点と非常に近かった。
 このため、科学者らはそれで満足していた。

 シモンズ氏は
 「残念なことに、今回の東日本大震災の地震はひっかかり地点がないと推測されていた場所で発生した。
 ひっかかり地点はもっと沖に離れた場所だとされていた」
と述べた。
 しかも、今回の地震の力は
 予測されていたM8.0の地震よりも33倍も大きかった。

 このような差が生じた理由の一つは、地上のGPS機器を用いて圧力を測定したことにある。
 地上のGPS機器はこのような沖に離れた地点のプレートの動きを計るのにあまり適していない。

 科学者たちはこれまでの地震パターンから、この断層線に沿った地域で発生する地震はM8.0を超えないと予測していた。
 しかし、一部の科学者はデータを十分にさかのぼっていなかっただけかもしれないと指摘している。
 歴史的文献や海底堆積物の調査結果を見ると、東日本大震災の規模に匹敵する可能性があり、震源が似ている地震が869年7月13日に起こっているという証拠がある。
 この地震についての理解が進んでいたならば、科学者たちは巨大地震が起こる可能性を認識していたかもしれない。

 エリオット氏は
 「われわれ人類の短い経験と地震の記録は、長い地球の歴史を見る上で小さな窓を提供しているに過ぎないことを学んだ」
と述べた。

 地球物理学者らは現在、既知の断層線上、とりわけ沖合にある「ひっかかり」地点を測定する方法を改善しようと懸命になっている。
 一つは海底測地学と呼ばれる方法を利用することだが、費用が高く、まだ普及していない。
 海底測地学では海底専用の機器を用いて海底の動きやゆがみを計測する。

 サイエンスに掲載された2番目の短い論文の中で、日本の科学者チームがこの手法を用いた。
 東日本大震災の震源に近い場所にたまたま設置してあった少数のトランスポンダー(自動送受信機)から得た限られたデータだったが、地殻が水平方向に20メートル以上も動いたことが分かった。
 これは地上のセンサーが検知した結果の4倍以上だった。

 一方、シモンズ論文は、東日本大震災の発生によって断層線上のほかの地域、とりわけ
 本震で破壊した部分の先端が不安定になった可能性がある

と指摘している。
 これが事実だとすると、今回の巨大地震で破壊した部分の先端、つまり
 東京から東に200キロメートル離れた地点でもう一つの大地震が起こる可能性
があるという。

 その地点に本当に「ひっかかり」があり、十分なゆがみが蓄えられた場合、沖合で新たな巨大地震が発生する可能性がある。
 東日本大震災の震源よりも東京にずっと近い地点が震源になるわけだ。

 しかし、そのような巨大地震の発生時期を予測するのはさらに難しい。
 シモンズ氏は「そこに懸念が生じる」と述べ、
 「海底測地を行う必要がある。
 地上からのデータのみに頼っても全容の半分しか見えないからだ」
と述べている。

記者: Gautam Naik


 東京直下型地震とは別に、
 東京から200km地点で大地震の発生する可能性が大きい
という。
 東京はふんだりけったりである。
 が、それが日本列島、そして東京という場所の置かれた自然環境だということである。
 その自然環境を無視して、人為的に何かをやろうという行為の方が、明らかに間違っているということなのだろう。




 <future design> 



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