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● 「崩壊する世界 繁栄する日本」
この本、知らなかった。
インターネットで今日知った。
『
本が好き! 2011年05月20日21時58分
http://www.honzuki.jp/book/status/no35264/index.html
書評:崩壊する世界 繁栄する日本
著者は2ちゃんねるでの経済に対する書き込みを評価されたのがきっかけで本を出すようになったという異例の経歴の持ち主で、かなり辛口の読者たちから認められただけあってなかなか説得力があり読みごたえがある。
各種の経済データをもとに特に昨年の金融危機で大ダメージを受けた8カ国および日本の産業構造や国家モデルを分析している本。
分析ポイントとして重視しているものに、
①.輸出力よりも輸入力がどれほどあるか
②.どのようにして付加価値をつけているか
ということで、GDPに加えてGNI(国民総取得)を分析する
(GDPだけだと他国からの借金で水増しすることが可能なので)
の2点をあげているのが特徴で、以下のような感じで各国の経済構造があぶりだされてくる。
・アイスランド : 海外からの投資で繁栄してきたため、破滅的な打撃を受けた
・韓国 : 輸出国を志向しているが、輸入がそれを上回る悲惨な状態
・ロシア : エネルギー輸出以外ろくな産業もなく、価格変動をもろに受ける
・英国 : 金融立国である上に、不動産バブルも拡大していた
・ドイツ : GDPに輸出の占める割合の高い外需依存構造だが、比較的まとも
・スペイン: 建設業中心の不動産バブルに依存する経済をやってきた
・中国 : ドイツと同様外需依存国の上に、人件費を抑えてきたために内需が貧弱
・米国 : 海外からの借金を証券化商品として全世界に売りさばいた金融詐欺国
こうして見ると、海外を見習うという言葉は安易に口にしてはいけないということがよく分かってくる。
書き方もなかなか辛辣で、
”韓国は輸出総額増大を国是とする面白い国”とか、
”よりにもよって英国のエコノミストに日本経済批判などされたくない”とか、
”ベネフィットには金がかかる”
という風で身も蓋もないが面白いのは面白い
そして終盤で日本経済の分析に移る。
ここでは日本は
▽ 経済に占める輸出の割合が先進国の中でも米国に次いで少ないこと、
▽ 債権国としての黒字が貿易黒字よりも多い国であること、
▽ そのくせ輸出産業偏重の政策を採り続けてきたこと
などをデータから導き出している。
そして今後日本が取るべき道としては、
■ 国内個人市場向きの経済政策にモデルチェンジすることで、ガラパゴス化を推し進めていくこと
が望ましいとしている。
著者は2ちゃんねるでの経済に対する書き込みを評価されたのがきっかけで本を出すようになったという異例の経歴の持ち主で、かなり辛口の読者たちから認められただけあってなかなか説得力があり読みごたえがある。
ブログからではなく2ちゃんねるからもこういった才人が登場するというのは、興味深くていい傾向だと思う。
かなり面白かったので、著者の他の作品も読むことになると思う。
書名:崩壊する世界 繁栄する日本
著者:三橋貴明
出版社:扶桑社
』
検索した書評を抜粋で。
『
ぶんしょこ。 2011/4/3(日) 午後 1:14
http://blogs.yahoo.co.jp/abareneko10/9679924.html
【題名】 崩壊する世界、繁栄する日本
【著者】 三橋貴明
【一言】
うーむ、素晴らしい。
三橋貴明という新しい娯楽を発見してしまった。
早くも今年最大の幸福を手にしたかも知れない。
本書は、国際収支やGDPの構成等から各国の「国家モデル」を読み解く。
中小企業診断士って、国家も診断するんですか…?
うすうす感じていたが、私は経済に関して無知に等しかった。
納得の連続で、個人的に娯楽と教本が合体したような本だった。
会計の知識が少しあると、より楽しめるだろう。
【勝手な要約】
☆ 日本は、1980年代の後半から20年の長きに亘り、世界最大の純債権国であり続けている。
☆ 「国家モデル」とは、
その国の経済がいかに付加価値を伸ばし、輸入を可能にするか
を示す概念である。
☆ 国の付加価値は、GDP(国内総生産)又はGNI(国民総所得)を指す。
☆ 国民の利益を考慮した場合、輸出より「輸入」が重要だ。
☆ 通貨高は、購買力を高め、国民の生活を豊かにする。
☆ 政府の債務(Stock)がいかに積み上がろうと、GDP(Flow)に負の影響は及ぼさない。
☆ 国家の場合、借金を返済せず、借換えを続けることができる。
☆ 国家は、外国から資金調達し、個人消費に充ててGDPを拡大し続けることが、理論上は可能だ。
☆ 金融危機で破綻する前のアイスランドは、この手法を採用していた。
☆ GDP=国内で生産した経済的な付加価値の集積
☆ GNI=GDP+所得収支
☆ 日本のように、海外所得が多い国は、GDPのみで経済を測ることができない。
☆ 円高の中、日本が高い成長を実現するには、GNIに焦点を置くべきだ。
☆ 日本は所得収支の黒字が大きいため、GNIは常にGDPを上回る。
☆ GDP=消費+固定資本形成+政府支出+在庫変動+純輸出
☆ GNI=消費+固定資本形成+政府支出+在庫変動+純輸出+所得収支
☆ 輸出の減少は、企業収益に影響を及ぼすが、国民生活にさほどの打撃はない。
☆ 輸入の減少は、産業基盤や国民生活を直撃する。
☆ 国の輸入力を評価する場合、
①外貨準備高 と
②為替レート が、
貿易収支以上に重要だ。
☆ ソフトカレンシーは、貿易の決済ができない。
☆ 通貨安がソフトカレンシーを襲うと、その国はある時点で輸入が不可能になる。
☆ 食糧自給率の低い国の通貨が暴落すると、国民が飢え死にする。
☆ 実際、アジア通貨危機の時、米国の食糧メジャーは、韓国への輸出を拒否した。
☆ 「資本収支の赤字」は、外国への投資を意味する。
☆ 日本は、資本収支の赤字を積上げ、世界最大の純債権国になった。
☆ 日本は、投資の果実として、巨額な「所得収支の黒字」を得ている。
☆ 外貨準備高増減は、国際収支上、増加を「-」と、減少を「+」と表記する。
☆ 通貨の下落局面で外貨準備が足りない場合、高金利を餌に海外資金を呼び込む以外の手段がない。
☆ 破綻前のアイスランドの金利は、実に18%に上った。
☆ 米国は、自国の通貨を印刷し、対外債務の返済に充てることができる。
☆ 基軸通貨は、世界で通用する。
米国は、対外債務さえ自らファイナンスし得る特権を持つ。
☆ 通貨暴落は、国家の恐怖だ。
輸入を断たれた国は、継続し得ない。
☆ 1873年、アイスランドを含むデンマークとスウェーデンは、スカンジナビア通貨同盟を結んだ。
☆ スカンジナビア通貨同盟は、共通通貨として「クローナ」を定めた。
☆ 破綻したアイスランドは、海外資金の急流出を防ぐため、外国人の預金口座を凍結した。
☆ 海外資金を国内で回して成長した同国は、海外資金なくして自国の経済を回せなかった。
☆ 高金利を餌に海外資金を集めた「金融立国」が、出金を制限した。
国が衝突しても不思議はない。
☆ 所得収支が赤字の国は、毎年一定額の所得が、海外へ流出している。
☆ GDPの構成は、その国の成長手法そのものだ。
☆ 破綻したアイスランドの三銀行は、海外から集めた預金を原資に投資して、成長を遂げた。
☆ 借金によるレバレッジ投資は、バブルの崩壊とともに巨額の損失を出した。
☆ アイスランドは、国家がヘッジファンドだった。
☆ 金融立国の通貨高は、生命線だ。
金利が高く、通貨が強くなければ、資金を呼び込めない。
☆ 貿易立国(外需依存国)の通貨高は、重荷だ。
輸出競争力を削がれる。
☆ いかに輸出を拡大しようと、それ以上に輸入すれば、GDPは拡大しない。
☆ 韓国の「輸出」は、GDP比率で約40%に及ぶ。
☆ 一方、韓国の「純輸出」のGDP比率は、2006年が0.92%、2007年が0.83%だった。
☆ 輸入に頼る韓国は、輸出を国是としたにも関わらず、内需がGDPの99%を占めた。
☆ この事実は、韓国の輸出がいかに非効率であり、付加価値が低いかを示す。
☆ 国際収支上、外貨準備の大幅減がない限り、経常収支と資本収支がともに赤字になることはない。
☆ 韓国の「双子の赤字」は、極めて珍しい現象だ。
☆ 米ドルに対して通貨が高くなることは、貿易立国の証と言える。
☆ 韓国は、技術や資本財に関し、全面的に日本へ依存している。
☆ 韓国は、ウォン安と日本の資本財を競争力の源泉とする、輸出依存の国だ。
☆ アイスランドは、ワシントンDCとモスクワを結ぶ線上に位置し、地政学上の重要性が高い。
☆ アイスランドは、自国の「位置」を外交材料とし、東西の強国から利便を受けて来た。
☆ 米ドル/ルーブルの為替推移を逆さにすると、WTI指数と非常に似ている。
☆ ロシアは、日本以上に少子化と人口減が進む国だ。
人口は、毎年50万人以上減っている。
☆ ロシアは、人口増加が、経済成長の絶対条件ではないことを示す。
☆ エネルギー資源の輸出量は、ロシアの輸出総額の55%に及ぶ。
☆ ロシアは、1998年に原油価格の低迷を受けて破綻した。
☆ ロシアは、資源への依存が過度に強い。
国を支える輸入力が、資源価格に左右される。
☆ ロシアは、国際的に競争力のある製品がない。
☆ ロシアは、有数の資源国である一方、エネルギー効率が世界の最低水準だ。
☆ 同じ金額のGDPを稼ぐのに、ロシアは、日本の18倍のエネルギーを必要とする。
☆ 2007年、ロンドン市場の為替取引高は、世界の総取引量の30%に達した。
☆ 9.11同時多発テロ以降、イスラムの資本家が米国を避け、中東マネーがロンドンへ集まった。
☆ 英国は、最終段階たる「債権取崩国」の状態にある。
☆ 英国は、年々増える経常収支の赤字を、資本収支の黒字でファイナンスしている。
☆ 英国の対外債務の額は、他の先進国と比べて突出している。
☆ 海外資金の流入が止まり、流出し出すと、英国ポンドは大きく下落し、輸入力を損なう。
☆ イングランド銀行が利下げを繰り返し、ポンド安に拍車を掛けた。
☆ 英国は、金融インフラを整備し、海外資金を呼び込んで国内経済を刺激した。
☆ 金融立国は、資金が逆流し始めると、成長モデルが一気に崩れる。
☆ 英国は、貿易立国ではない。
激しいポンド安は、さほど英国の輸出に貢献しない。
☆ 金融立国としての地位を取り戻すには、高金利とポンド高が不可欠だ。
☆ ドイツは、ユーロ圏で唯一、不動産バブルに無縁だった。
☆ BS不況の場合、中央銀行が金利を下げ、市場へ資金を供給しても、借り手は見向きもしない。
☆ 企業や家計は、借金の返済に夢中だ。
投資や消費へ、目が向かない。
☆ ドイツは、ユーロ加盟国だ。
不況時の財政出動に限界がある。
☆ ドイツは、欧州を代表する大工業国だ。
GDPに占める製造業の割合は、30%に及ぶ。
☆ ドイツは、輸出のGDP比率が40%、純輸出のGDP比率が7%を占める。
☆ ドイツは、典型的な外需依存国だ。
貿易黒字を稼ぎ、資本輸出を行う。
☆ マーストリヒト条約は、加盟国の金融と財政を縛る。
☆ ユーロ圏は、平時は順調に稼働しても、有事に弱く、混乱を深めやすい。
☆ スペインの持ち家比率は、90%弱と突出して高い。
☆ スペインは、経常収支の赤字を、資本収支の黒字でファイナンスしている。
☆ 資本収支の黒字や、所得収支の赤字は、対外債務が増えていることを意味する。
☆ スペインは、広大なスペイン語圏からの移民流入を受け、欧州で最も不動産バブルに沸いた。
☆ 建設業を中心に成長を遂げたスペインは、不動産バブル崩壊の傷が極めて深い。
』
『
blog50-1 2009年04月02日
http://blogcq.livedoor.biz/archives/50747722.html
崩壊する世界 繁栄する日本 「国家モデル論」から解き明かす(書評・感想)
不況真っ只中の中で、各国の国家モデルを一種のビジネスモデルとしてバサっとまとめてしまうところがおもしろい。
国家と経済ってのはもうちょっと複雑ではないかなとも思うが、これくらいコンパクトにまとめてくれると読む気もするってもんだ。
スペイン経済とかメディアでは取り上げられないし、貴重な本。
* 第一章 「国家のモデル」とは?
* 第二章 アイスランド「自壊した“ヘッジ・ファンド国家”」
* 第三章 韓国「失敗したモデルを引きずる“自称・貿易国家”」
* 第四章 ロシア「原油安で崩壊寸前“オイル至上主義国家”」
* 第五章 イギリス「フェイクマネーに溺れた“金融国家”」
* 第六章 ドイツ「欧州を代表する“外需依存国家”」
* 第七章 スペイン「不動産バブル崩壊と共に沈む“建設業国家”」
* 第八章 中国「輸出減と輸入激減が進む“縮小成長国家”」
* 第九章 アメリカ「マッチポンプが崩壊した“金融詐欺国家”」
* 終 章 日本「繁栄する“新国家モデル”」
筆者は中小企業診断士である。
同じ中小企業診断士の中でも世界経済について論ずることなく、役所の補助金目当てにチョロチョロしている人が多い。
そんな中で、経済学者の方と違って、ある視点から国家モデルを解き明かす。
枝を見て森を論じる。
スペインの国家モデル
* 観光や、スペイン語圏からの移民流入などを背景に不動産ビジネスを活性化させ、建設業を中心と成長する内需拡大型モデル
* ドイツと同様に金融政策についてECBに委任し、ユーロ圏全体として輸入力を確保 P161
これくらいざくっと説明された方がすっきりする。
日本以外の8カ国の国家モデルが3行くらいで説明しているから、わかりやすさは折り紙つき。
これがアイルランドだと金融(他国からの借金)、ロシアだと「オイル」、中国だと輸出ということになる。
アメリカは完全な過剰消費。
レバレッジ(梃子の原理)と書けば聞こえはいいが、要は自己資金でなく借金も加えて投資することで、ROEを高めていただけなのである。P201
資本効率を高めさせたのは株主であり、それが文化の国だ。
そして小切手を切る、クレジットカード支払の慣習がある。
これらは、小切手なら数日、クレジットカードなら1ヶ月以上の借金である。
過剰消費は多少抑制ができれても、この慣習は変えられないのではないかと思う。
筆者が言う「繁栄する日本」はどうか。
日本は輸出産業にだけ頼っていると思われているが、
幸いと言ってはなんだが、日本語はあくまで日本国内でのみ通用する言語である。
さらに日本は1億人を越える人口を抱え、単一市場としても世界有数の規模である。
結果、日本を独自の言語を活用し、独自の文化を高度に発展させることに成功した。P231
実際、統計を見てもかなり内需主導型の国と言える。
輸入が多く、意外と国内で完結する産業も多い。
あとは国内での消費をどう刺激するか。
もっと言えば、政策でなんとかなるかも知れない。
つまり、富裕層とされる高齢者からいかにお金を引き出すか。
彼らは国から手厚い介護を受ける。
歩けるのにワゴンでリハビリに出かける。
ちなみに旅行会社以外ではコンビニを含む小売り業も「いろいろ」気がつき始めていると思います。
私たちに一番目に見えるのは食事ビジネスですよね。
なんだけど、実はこっちは(食事ビジネスだけでなく)相当巨大な“とある市場”につながっており、この市場がものにできれば小売り業は超有望とちきりんは思ってます。
また、郵便局もなかなかにおもしろい“プレーヤー”です。
高齢者向けビジネスあれこれ
お金を使わない、「貯蓄こそ美徳」が高齢者のカラダに染み付いてる。
単なるサービスの拡充・変更では消費刺激は難しい。
高齢者から若者への所得移転が必要で、高齢者には破滅的浪費をしてもらうしかない。
貯蓄を公共財にまわす国ではなくなった。
相続税を段階的に引き上げて、マンションを建てさせて、資産をモノに変えさせる対策必要だ。
死ぬまでに使わなくっちゃ。
まあ、「一番の票田が高齢者である」という問題に起因する。
最終的選挙に行かない若者の問題でもあり、若者をひきつけない政治の問題である。
この問題に付き合う限り内需拡大はない。
麻生総理は結婚するだけで「100万円の記念紙幣を贈呈する」ともいう。
年金などフローは減らすと餓死する人が出るから、やはりストックを吐き出してもらうしかない。
高齢者が「老後のため」と貯蓄する。
それが続けば、「崩壊する世界、崩壊する日本」となってしまう。
スットクをムリヤリひねり出すのは資本主義的ではない。
しかし、資産再配分をしなければいけない転換点かもね。
といいつつ、親頼みの若者が多いのも事実。
悩ましい。
「10年後 70歳以上の方の相続税を100%にします」これだけで消費は増えるはずだ。
本書は論旨が明快でよい本でした。
』
ちょっとこれ、面白ろそうかも。
そのうち、読んでみるか。
経済学者のいう経済見通しというのは当たったことがない。
なぜなら、答えは簡単。
死に絶え、亡霊となってさまよっている論理にしがみついているから。
<future design>
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