2011年6月1日水曜日

2021年に韓国型ロケット完成へ

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● 韓国型宇宙ロケット



朝鮮日報 : 2011/06/01 11:30:41
http://www.chosunonline.com/news/20110601000042

韓国独自の技術による宇宙ロケット開発へ
2015年から18年の間に2段ロケット試験発射
21年に韓国型ロケット完成

 人工衛星打ち上げロケット「羅老号」の失敗を乗り越え、韓国は「独自の宇宙ロケット」という新たなチャレンジに乗り出すことになった。

 教育科学技術部(省に相当)は先月31日
 「韓国型発射体(KSLV-2)の開発をめぐる第1段階(2011-14)事業を主導する事業団長を募集する」
と発表した。
 政府は21年まで3段階に分け、総額1兆5449億ウォン(約1165億円)の開発予算を投入し、アリラン衛星と同じ1.5トン級の実用衛星を地球上空600キロから800キロに打ち上げる3段型宇宙ロケットを、韓国独自の技術によって開発する方針を明らかにした。

 当初、韓国政府はロシアと共同開発した羅老号の打ち上げが成功すれば、直ちに完全国産の韓国型発射体の開発に乗り出す計画だった。
 しかし羅老号は 09年と10年に相次いで打ち上げに失敗し、本来の計画通りでは宇宙開発計画そのものが揺らぐ可能性が出てきた。
 そのため政府は羅老号の打ち上げとは別に、韓国型発射体の開発に急いで取り組むことにした。

■衛星による自力での監視が可能、産業への波及効果も

 09年と10年に行われた2回の打ち上げにいずれも失敗した羅老号は、ロシアと韓国航空宇宙研究院(以下、航宇研)が共同開発したロケットだった。
 ロシア製の第1段ロケットには液体燃料を利用するエンジン、第2段ロケットには韓国で開発された固体燃料エンジンが使われた。

 韓国型発射体は100%韓国の技術で開発される。
 その中核となるのは、航宇研が独自に開発中の75トン級液体燃料エンジンだ。
 最下部の第1段ロケットには75トン級エンジン4基が一つにまとめられ、計300トンの推進力を確保するようになる。

 教育科学技術部は
 「75トン級エンジン1基を装着したロケットを、18年までに全羅南道高興の宇宙センターから試験発射する予定だ」
 と発表した。
 21年に完成品が最終的に打ち上げられる前に、この中核エンジンを利用した2段ロケットを試験的に打ち上げるということだ。

 独自の技術で衛星とロケットの開発、打ち上げに成功した国の集まり「スペースクラブ」にはロシア、米国、フランス、日本、中国、英国、インド、イスラエル、イランの9カ国が名を連ねている。
 韓国がスペースクラブに仲間入りする10番目の国となれば、世界市場で韓国ブランドの価値を高める大きな効果をもたらすと見込まれる。
 科学研究や気象観測はもちろん、衛星による国防目的の監視も可能になる。

 産業にも高い波及効果をもたらす。
 宇宙技術は機械、電気、エレクトロニクス、化学工業、新素材など、科学技術のほぼ全ての分野が関係する総合的な技術だ。
 そのため韓国型発射体の開発で得られた先端技術は、航空や造船、自動車、IT(情報技術)などあらゆる産業にとってプラスとなる。

■開発組織を独立、企業の積極的な参加も

 韓国型発射体を開発する主体は、これまでの航宇研から今後は産学研が共同で参加する「開放型事業団」に変更される。
 これについて教育科学技術部は
 「羅老号の開発は航宇研が独占的に推進したため、国内の専門家の能力を結集できなかったという指摘を受けたからだ」
と説明している。
 つまり羅老号の失敗は、航宇研の閉鎖性に起因していたというわけだ。

 これを受けて企業も、事業初期から試験発射施設の建設や関連部品の開発などに参加することになる。

 開発の第1段階は2011年から14年までに設定され、3段液体エンジンの開発と試験施設が建設される予定だ。
 15年から18年までの第2段階では2段ロケットを開発し、試験発射までを行う。
 19年から21年までの第3段階では1段ロケットを製造し、
 最終的に21年までに韓国独自の技術で開発されたロケットの打ち上げ
にこぎ着けたい考えだ。

■3回目の羅老号打ち上げは来年をめどに

 韓国型発射体の開発計画とは別に、羅老号の3回目の打ち上げも来年をめどに行われる見通しだ。

 教育科学技術部宇宙技術課のユン・デサン課長は先月31日
 「ロシアでは現在、羅老号の第1段ロケットを開発中だと聞いている。
 また韓国科学技術院(KAIST)でも3回目の打ち上げに使用される衛星を開発している。
 打ち上げが決定してから、通常は8カ月ほど時間がかかることを考慮すれば、来年中には打ち上げが可能だろう」
と話した。
 羅老号は昨年6月に2回目の打ち上げに失敗した。
 韓国航空宇宙研究院とロシアのフルニチェフ社は、失敗の原因を究明する調査委員会(FRB)を立ち上げ、4回にわたり検討会を開催したが、失敗の原因については合意に至らなかった。
 当時、教育科学技術部のキム・チャンギョン第2次官は
 「失敗の原因が特定されなければ、3回目の打ち上げを行うことはできない」
と話し、3回目の打ち上げが霧散したのではないかとの見方もあった。

 しかし最近、政府の考え方に変化の兆しが見え始めている。
 ロシア連邦宇宙局は今年3月、韓国政府に第3の協議体を立ち上げ、羅老号失敗の原因を改めて究明することを提案した。
 5月には教育科学技術部のヤン・ソングァン戦略技術開発官がロシアを訪問し、両国政府は失敗の原因を直接究明することと、3 回目の打ち上げを推進する方向で意見を集約した。


 ちょっと気になるのが予算。
 「1,200億円」ほどで、宇宙ロケットというのは開発できるものなのであろうか。
 羅老号の約3倍の予算を計上しているが、羅老号はロシアの基礎技術があっての開発である。
 もし、技術もなんにもないところから始めるとなるととてもではないが、こんな金額で収まるはずがない。
 さらにその3倍とみて3,600億円くらいは見込んでおかないとまずのではないだろうか。
 たとえば、リニアモーターカーの「日本においての1km当たりの線路の建設費は平均すると150億-200億円と試算されている」とWikipediaにある。
 1,200億円とはたった「8キロ」ほどにしかあたらない。
 3倍の3,600億円としたって24kmにしかならない。
 品川を出発して横浜ほどの距離である。
 最低でもこの程度の開発費は見込んでおかないとヤバイのではないだろうか。
 特にK2戦車すら開発できなかった技術力で果たして宇宙に行かれるのだろうか。
 そう簡単に成せるようなことではないように思えるのだが。
 心配である。





 <future design> 


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